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研究課題 SARSおよび動物コロナウイルスの増殖と遺伝子発現に関する研究 Replication and gene expression of SARS coronavirus and other animal coronaviruses ID KAKENHI-PROJECT-16017308

サマリー

研究課題ID
KAKENHI-PROJECT-16017308
研究課題名
SARSおよび動物コロナウイルスの増殖と遺伝子発現に関する研究 Replication and gene expression of SARS coronavirus and other animal coronaviruses
課題 領域番号
16017308
研究種目
配分区分
  • 補助金 Single-year Grants
審査区分
研究機関
研究代表者
研究分担者
研究期間
2004年度 - 2005年度
課題ステータス
  • 完了 2005年度
  • 採択 2004年度 - 2005年度
配分額
  • 15,000,000円 直接経費 15,000,000円
  • 7,500,000円 直接経費 7,500,000円 2005年度
  • 7,500,000円 直接経費 7,500,000円 2004年度
キーワード
研究概要

1)SARSコロナウイルス(SARS-CoV)に関する研究

SARS-CoVは通常エンドゾーム経由で細胞内へ侵入することが報告されているが、我々はSARS-CoVのS蛋白の融合活性を誘導するプロテアーゼ(trypsin, elastase等)存在下では細胞膜径路で侵入することを明らかにした。更に、この径路による感染は、エンドゾーム径路感染より100-1000倍感染効率が高いことが判明した(PNAS,2005に発表)。SARSの重症肺炎の発症機序は、ウイルス感染を増強する様なプロテアーゼの存在が重要ではないかと考え、マウスに非病原性細菌感染で肺elastaseを誘導し、SARS-CoVを感染させることにより、ウイルス増殖及び肺の組織障害が高くなることを観察した。今後、更に重症肺炎に至るウイルス側及び宿主側因子の同定を進めたい。

2)マウスコロナウイルス(MHV)に関する研究

神経病原性の高いMHV-JHM株は受容体発現細胞に感染し、その細胞から受容体を持たない細胞に感染することが知られている。我々は、JHM株を直接受容体非発現細胞へ吸着させることにより、感染が成立することをspinoculation法(ウイルスが接種された細胞をウイルスと共に3000rpmで2時間遠心)により証明した。また、受容体非依存性感染にはJHM株のS蛋白の自然条件下で融合能が活性化されるという性質によることも明らかにされた(J.Viro1.2006発表)。

1) Research on SARS coronavirus (SARS-CoV) infection :

It was reported that SARS-CoV enters into cells via endosomal pathway. We found that SARS-CoV also enters cells directly from cell surface, when cell-attached viruses are treated with proteases, such as trypsin or elastase that induces. S protein cleavage as well as fusion activity. Virus entry from plasma membrane was revealed to result in a 100 to 1000 more efficient infection than the infection via endosomal pathway. This could suggest that high replication of SARS-CoV in the lung or intestine, the major target organs of SARS, is attributed to the proteases produced in those organs. This protease-mediated enhancement of SARS-CoV infection could explain how severe respiratory disease is produced by SARS-CoV infection, even if this virus is allowed to grow in a variety of organs that express its receptor ACE2. Studies are in progress whether such proteases produced in mice induce severe respiratory disease or not.

2) Research on murine coronavirus mouse hepatitis virus (MHV) infection :

Highly neurotropic MHV, JIEVIV, spreads from cells infected via its receptor (CEACAM1) to CEACAM1-negative BHK cells (called receptor-independent infection). We have shown that JHMV virion can directly infect BHK by spinoculation (virus inoculated cells as well as inoculated viruses were spun at 3000 rpm for 2 h), indicating that JHMV virion has a unique feature for infection. It was further shown that this feature is dependent upon its S protein, which is activated for fusion by a naturally occurring manner, without binding to its specific receptor.

2005年度

研究課題名
SARSおよび動物コロナウイルスの増殖と遺伝子発現に関する研究
研究機関
研究代表者
研究分担者
  • 氏家誠 ウジケ マコト

    国立感染症研究所 ウイルス第三部 研究員

  • 白戸憲也 シラト カズヤ

    国立感染症研究所 ウイルス第三部 研究員

  • 座本綾 ザモト アヤ 10392325

    国立感染症研究所 動物管理室 研究員

  • 渡辺理恵 ワタナベ リエ

    国立感染症研究所 ウイルス第三部 リサーチレジデント

  • 中垣慶子 ナカガキ ケイコ

    国立感染症研究所 ウイルス第三部 臨時職員

課題ステータス
採択

2004年度

研究課題名
SARSおよび動物コロナウイルスの増殖と遺伝子発現に関する研究
研究機関
研究代表者
研究分担者
課題ステータス
採択

報告書 3 件

2005年度 実績報告書

キーワード
研究概要

マウス肝炎ウイルス(MHV)は受容体(MHVR)を介して細胞に吸着、侵入するが、JHM株cl-2はMHVRを介して感染後、感染細胞からMHVR非発現細胞へ感染することが知られている(MHVR非依存性感染)。これは標的細胞の近傍に存在するS蛋白がMHVRに結合すること無く活性化することによると考えられる。この可能性を検証するため、spinoculation (SP)法でウイルスと細胞を隣接させることにより、MHVがMHVR非発現細胞へ感染するか否かを検討した。また、自然条件下でのS1サブユニットの遊離の検出も試みた。

本研究ではcl-2とMHVR非依存性感染活性のないsrr7を用いた。SP法は、MHVR非発現BHK細胞にウイルスを接種し、1750gで遠心後、37℃で16時間培養した。ウイルス感染は、細胞を固定、染色後、巨細胞数を算定した。また、cl-2、srr7 S蛋白をBHK細胞で発現し、培養上清中の遊離S1蛋白をウエスタンブロット法で解析した。

リアルタイムPCRによりSP法で接種したウイルスの細胞への吸着は著しく上昇し(20-150倍)、その吸着率にはcl-2、srr7間で差がないことが明らかになった。また、SP法により、cl-2のBHKへの感染は著しく促進された(約200倍)が、srr7の感染は認められなかった。一方、組換えS蛋白の解析では、受容体非依存性感染能力があるcl-2でのみS1が自然遊離し、培養上清中へ放出されることが確認された。これらの結果から、受容体非依存性感染は粒子が細胞に接着することとS1がS2から遊離することが不可欠であることが示された。以上のことから予想される受容体非依存的感染機構は、細胞表面近傍に存在するウイルス粒子のS1サブユニットが遊離することによってS2の構造変化がおこり、ウイルスと細胞の膜融合が引き起こされることによると推測された。

2005年度 研究成果報告書概要

キーワード
研究概要

1)SARSコロナウイルス(SARS-CoV)に関する研究

SARS-CoVは通常エンドゾーム経由で細胞内へ侵入することが報告されているが、我々はSARS-CoVのS蛋白の融合活性を誘導するプロテアーゼ(trypsin, elastase等)存在下では細胞膜径路で侵入することを明らかにした。更に、この径路による感染は、エンドゾーム径路感染より100-1000倍感染効率が高いことが判明した(PNAS,2005に発表)。SARSの重症肺炎の発症機序は、ウイルス感染を増強する様なプロテアーゼの存在が重要ではないかと考え、マウスに非病原性細菌感染で肺elastaseを誘導し、SARS-CoVを感染させることにより、ウイルス増殖及び肺の組織障害が高くなることを観察した。今後、更に重症肺炎に至るウイルス側及び宿主側因子の同定を進めたい。

2)マウスコロナウイルス(MHV)に関する研究

神経病原性の高いMHV-JHM株は受容体発現細胞に感染し、その細胞から受容体を持たない細胞に感染することが知られている。我々は、JHM株を直接受容体非発現細胞へ吸着させることにより、感染が成立することをspinoculation法(ウイルスが接種された細胞をウイルスと共に3000rpmで2時間遠心)により証明した。また、受容体非依存性感染にはJHM株のS蛋白の自然条件下で融合能が活性化されるという性質によることも明らかにされた(J.Viro1.2006発表)。

1) Research on SARS coronavirus (SARS-CoV) infection :

It was reported that SARS-CoV enters into cells via endosomal pathway. We found that SARS-CoV also enters cells directly from cell surface, when cell-attached viruses are treated with proteases, such as trypsin or elastase that induces. S protein cleavage as well as fusion activity. Virus entry from plasma membrane was revealed to result in a 100 to 1000 more efficient infection than the infection via endosomal pathway. This could suggest that high replication of SARS-CoV in the lung or intestine, the major target organs of SARS, is attributed to the proteases produced in those organs. This protease-mediated enhancement of SARS-CoV infection could explain how severe respiratory disease is produced by SARS-CoV infection, even if this virus is allowed to grow in a variety of organs that express its receptor ACE2. Studies are in progress whether such proteases produced in mice induce severe respiratory disease or not.

2) Research on murine coronavirus mouse hepatitis virus (MHV) infection :

Highly neurotropic MHV, JIEVIV, spreads from cells infected via its receptor (CEACAM1) to CEACAM1-negative BHK cells (called receptor-independent infection). We have shown that JHMV virion can directly infect BHK by spinoculation (virus inoculated cells as well as inoculated viruses were spun at 3000 rpm for 2 h), indicating that JHMV virion has a unique feature for infection. It was further shown that this feature is dependent upon its S protein, which is activated for fusion by a naturally occurring manner, without binding to its specific receptor.

2004年度 実績報告書

キーワード
研究概要

SARS-CoVはエンベロープを持つRNAウイルスで、粒子表面のスパイク(S)蛋白と細胞表面のレセプターACE2が結合後、ウイルスエンベロープと細胞の膜融合により標的細胞へ侵入すると考えられている。最近Bates等は、200kDのS蛋白がトリプシンにより解裂して100kDになると膜融合が誘導されること、またSARS-CoVはエンドソームを経由して侵入すること、S蛋白の解裂活性化はエンドソーム内で起こっている可能性があることを示した。これまでエンドソーム内でのプロテアーゼによるエンベロープ蛋白の解裂活性化は知られておらず、我々はこの新しいメカニズムを解析するために、SARS-CoV感染VERO E6細胞を用いて、トリプシンおよび他のプロテアーゼに対する感受性を調べた。SARS-CoV VERO E6細胞に感染させ、S蛋白を細胞表面に発現させ、種々のプロテアーゼで細胞表面を5分間処理し、誘導される細胞融合を顕微鏡で観察した。またプロテアーゼによるS蛋白解裂は、S蛋白の1124-1140アミノ酸配列を認識する抗体を用いたウエスタンブロットで行った。trypsin、thermolysin、dispaseで処理した感染細胞では、30分から1時間後に強い細胞融合が認められ、200kDのS蛋白は100kDに解裂しており、これは抗体の認識部位から膜貫通S2サブユニットと推定された。chymotrypsin、papain、proteinase-K処理では細胞融合は弱く、S蛋白の200kD及び100kDの両バンドは消失した。collagenaseでは細胞融合は全く起こらずS蛋白の解裂も見られなかった。プロテアーゼ処理後に残存する100kDのS2の存在と膜融合活性の発現が並行することから、S蛋白の活性化には、S蛋白の解裂と、S2が分解されずに残ることが必要であると推測できる。今後、プロテアーゼがS蛋白にどのような構造変化を起こさせ、その変化が脂質二重膜にどう作用するのか、またエンドゾームの酸性条件下でも同様の変化が起るのか等を明らかにしたい。

研究成果 28 件

関連研究者

出典 KAKEN 科学研究費助成事業データベース 国立情報学研究所 kaken.nii.ac.jp 作成 論文relation